水道蜂ハニー:最優秀賞

11月23日に行われた全国学生養蜂サミット2025(ミツバチサミット2025)に参加しました。全国各地の高校・大学から集まった学生養蜂家の方々と、共通の話題で活発な意見交換を行い、大いに盛り上がりました。やはり共通の課題として、ダニ対策やスズメバチ対策などが主な話題となりました。今年4月から養蜂を始めた私たちとは異なり、中には10年を超える歴史を持つ学校もあり、その活動の重みと伝統を感じました。私たちもその経験に学び、活動を継続・発展させていかなければならないと強く感じています。

午前中は口頭発表を行い、午後からはブース展示を実施しました。日頃からお世話になっている学校関係者の皆様への感謝の気持ちを込め、3Dプリンターで製作したBeeスペーサー(育児圏8mm、貯蜜圏12~15mm)の配布や、BeehiveHookの展示を行いました。

さらに、「水道蜂ハニー」の試食会も実施しました。これほど大勢の方に試食していただく機会は初めてでしたので、「美味しい」という感想をいただけるか、正直少し心配でした。しかし、その心配はすぐに杞憂に終わりました。試食された皆さんが笑顔で「美味しい」と言ってくださる表情を見て、私たちも大変大きな喜びを感じました。

これらの活動に加え、活動の「ご褒美」とも言える素晴らしい成果をいただきました。サミット内の「はちみつ品評部門」において、日本大学経済学部3号館屋上での活動で生産した「水道蜂ハニー」が、見事最優秀賞を受賞いたしました。

今後も、安全で質の高い養蜂活動を通じて、皆様に喜んでいただける「水道蜂ハニー」をお届けできるよう、プロジェクト一同邁進してまいります。

ありがとうございました‼

ミツバチサミットへの意気込み

2025年11月22~24日のミツバチサミット2025に水道蜂プロジェクトも23日の全国学生養蜂サミット2025ポスターセッションに参加させていただきます。初めてのミツバチサミットに参加するので、サミットの雰囲気が分かりませんが、多くのプロの養蜂家さんや学生養蜂家の皆さんと交流できることに、今から胸が高鳴っています。

ブースでは、私たちが採蜜した「水道蜂ハニー」をご試食いただけるよう準備しています。また、「水道蜂クリーム」などの関連製品の展示も検討中です。差別化を図るべく制作したショートムービーは、少々「攻めた」内容になってしまいましたが、会場を明るく盛り上げられれば幸いです!

ポスターセッションでは、真面目に「夏季における巣箱の過熱対策とその有効性」というタイトルで発表を行います。この研究を一言で要約すると、,「都市養蜂の巣箱の過熱対策には、白色塗装と遮熱反射板の組み合わせが極めて有効である。」という結論です。屋上という過酷な環境下で、ミツバチを守るため、真夏の晴天日に様々な条件下で科学的な温度計測を実施し、その有効性を実証しました。この成果を基に、今後の養蜂箱の改善を進めていきます。

ぜひブースとポスターセッションにお立ち寄りください!お待ちしています!

要旨は以下の通りです。

近年、都市養蜂はビルの屋上などでの飼育が増加している。しかし、屋上という場所は日陰が少なく、温暖化による夏季の猛暑とコンクリートの照り返しにより、ミツバチに過酷な熱ストレスを与え、群勢衰退の深刻な要因となっている。本研究は、この課題に対処するため、養蜂箱の過熱対策である塗装色の選択と遮熱反射板の有無を比較検証することを目的とした。異なる塗装色と反射板の組み合わせを施した巣箱を用い、夏季の晴天日における巣箱内部の温度変化を計測した。その結果、白色および反射板の設置が温度上昇を効果的に抑制する極めて有効な対策であることがわかった。

全国学生養蜂サミット2025 / ショートムービー
研究の一例(熱赤外画像による温度計測)

3号館屋上

水道蜂プロジェクトは、3号館屋上に養蜂箱を設置しています。この屋上は、大規模な空調施設や太陽光パネルなどが大部分を占めていますが、ミツバチを飼育できるスペースとして幅3m × 長さ7mの限られたエリアを確保しています。緑の少ない都会の環境の中で、ミツバチがどのように蜜源を見つけ、飛行ルートを定めているのか、ず~~っと疑問でした。また、屋上は安全確保のため背丈を超えるフェンスで厳重に覆われているため、なかなか外の景色を眺めることができません。

そこで私たちは、ミツバチの目線での景色はどのようなものか確認したいと考え、7mの測量スタックの先端にデジタルカメラ(RICHO GR)を取り付け、タイムラプス機能を用いて数百枚の画像を撮影しました。さらに、これらの膨大な画像をパノラマ作成ソフトで精密に合成し、一枚の広大な俯瞰画像を作成してみました。

3号館屋上からの眺め(250817撮影)

普段は意識しない屋上からの眺望を確認すると、広大な緑地である皇居が予想以上に近くに位置していることに驚きを感じました。この発見は、ミツバチの主要な蜜源の推定や、都市環境における採餌行動の分析を行う上で非常に重要な手掛かりではないかと考えられます。都市での養蜂だからこそ得られた貴重な知見ですね。

ミツバチヘギイタダニ対策 -2-

8月末に設置したミツバチヘギイタダニ対策の薬剤を、約1ヶ月後の9月25日に取り外しました。巣門近くに設置したプラスチック下敷きには、大量のミツバチヘギイタダニが確認でき、既に動かない状態になっていたことから、薬剤の効果があったと判断できます。ミツバチヘギイタダニは、日本の侵略的外来種ワースト100に指定されるほど深刻化しており、その対策は養蜂にとって急務となっています。今回薬剤を設置した2群について、ミツバチヘギイタダニの駆除数をカウントしたところ巣箱Mで240匹、巣箱Jで391匹の駆除をすることができました。なお、ダニの数が多いので、スマフォのカウントアプリを使用して集計を行いました。今回の女王蜂隔離による育児圏断絶と薬剤の組み合わせは、ミツバチヘギイタダニを効率的に駆除する上で極めて有効であり、越冬前のダニ密度を大きく下げ、健全な群勢維持に繋がると期待できます。

女王蜂解放

8月13日のお盆から隔離した女王蜂を約4週間経過した9月11日に解放しました。使用した全面隔王篭は、働きバチは行き来できるのですが、体の大きい女王蜂は篭内でとどまり、産卵を停止させるためのものです。ミツバチヘギイタダニの繁殖は封蓋された巣房内でのみ行われます。そのため、女王蜂を隔離して産卵をストップさせることは、ダニの繁殖サイクルを断絶する上で非常に重要な役割を果たします。働き蜂が卵から成虫になるまで約21日間(約3週間)かかることから、この隔離期間を取ることで、コロニー内の封蓋された蜂児が全て羽化し、ダニの繁殖場所が一時的になくなった状態になります。このタイミングを見計らい、隔離から約2週間後の8月27日にダニ対策用の薬剤を設置しています。

ミツバチイタヘギダニ対策 -1-

お盆期間中に採蜜を行っていた2つの巣箱から女王蜂を隔離していましたが、その2週間後となる8月27日にミツバチヘギイタダニ対策のための薬剤を設置しました。このダニはミツバチに寄生して病気を引き起こすため、冬を越すためには欠かせない重要な作業です。

今回使用したのは「アピスタン」です。現在、日本で認可されているダニ対策用の薬剤は、アピスタン、アピバール、チモバールの3種類のみになります。この限られた選択肢の中から、私たちは、以前熊谷養蜂で開催された干場先生の「ヘギイタダニ抑制と駆除方法」講習会、そして渡辺先生からのアドバイスを参考に、アピスタンを設置することを決定しました。

干場先生の講習会では、薬剤で巣箱の底に落下したミツバチヘギイタダニが狭い場所に集まる習性があると教わりました。そこで、雨に濡れても大丈夫なプラスチック下敷きを巣門に設置してみました。その結果、設置してから5日後の内検では大量のミツバチヘギイタダニが下敷きの狭い隙間に集まっていました。内検時では、小さくて見逃してしまいがちなミツバチヘギイタダニがこんなにいるとは・・・驚きです(アプリで撮影画像のダニをカウントすると168匹)。このダニ対策がきちんと出来なければ、ミツバチは無事に冬を越せません。

(25/09/25加筆)薬剤設置してから1カ月後の記事はこちら

お盆も内検

5月のGWに続き、お盆期間中も大学の長期休暇に伴い、校舎への立ち入りが制限されます。こうした状況の中、大学事務の協力により、特別に屋上への立ち入り許可をいただくことができました。

この時期から、私たちはミツバチたちが無事に冬を越せるよう、本格的な準備を始めます。まずは、ミツバチの健康を守るためのミツバチイタヘギダニ対策です。まずは、採蜜を行っている2群の女王蜂を隔離しました。女王蜂を休ませることで産卵を一時的に止め、ダニの繁殖サイクルを断ち切る狙いがあります。女王蜂も夏休みです。2週間後には、ダニ対策用の薬剤を設置する予定です。

また、女王蜂のバックアップとして、人工分蜂で新しい女王蜂も育てています。新女王蜂の産卵も確認できたので、翅切りを行いました。この作業は何度やっても緊張しますが、無事に終わるとホッとします。

コンクリートに囲まれた屋上はかなりの熱気を帯び、作業中は汗が止まりません。しかし、ミツバチたちが健やかに育つ姿を見ると、疲れも吹き飛びます。このお盆期間も、ミツバチたちが快適に過ごせるよう、しっかりと見守っていきます!

広報さかど&週刊文春で紹介

嬉しいニュースが届きましたっ!!

先日、坂戸市長への表敬訪問の様子が、多くの市民の皆様に読まれている「広報さかど8月号」(発行部数:約5万部)でご紹介いただきました。Webからでも閲覧できます。

さらに、私たち日本大学の理事長で作家である林真理子理事長が、週刊文春で連載している人気エッセイ「夜ふけのなわとび」で私たちの「水道蜂ハニー」を取り上げてくださいました。

市民の身近な広報誌から、全国的な影響力を持つ週刊誌まで、私たちの取り組みが様々な形で注目を集めていることに、心から感謝申し上げます。これを励みに、これからも皆様に関心を持っていただけるような活動を続けてまいります。ぜひ、それぞれの媒体で詳細をご確認ください。

台風対策

2025年8月1日(金)の深夜から2日(土)の未明にかけて、関東地方に接近した台風9号(Krosa)が通過しました。屋上で養蜂を行っていると、台風接近のニュースに関しては敏感になります。私たちが設置している場所は、地上から約50m高い場所のため、地上よりも強風が吹くます。さらに、人の多い都市域なので、強風による巣箱の転倒や落下などの事故は絶対に防がなければなりません。そのため、私たちは以下のような台風対策マニュアルを準備し、実践しています。初年度なので不備な点が多いのですが、改善点があり次第マニュアルを改定していきます。

台風対策マニュアル(水道蜂プロジェクト)

水道蜂ハニー

2回目の採蜜が無事に終了し、水道蜂プロジェクトから、「初夏(糖度83%)」と「盛夏(糖度80%)」という二つの個性豊かなハチミツを用意することができました。同じ場所で採れたハチミツでありながら、これほどまでに異なる表情を見せるのは、都市の自然が持つ多様性と、季節ごとの花の移り変わりによるもの。まさに、都市の環境が豊かであることの証でもあります。

春から初夏にかけてミツバチたちが集めてくれた蜜で、都市の木々や草花が芽吹き、生命力あふれる時期の恵みが凝縮されています。主にトチノキ、ツツジ、ネズミモチといった初夏の街路樹の花々など、多様な蜜源から集められた百花蜜になります。

「初夏」のハチミツの特徴は、その繊細でどこか儚い香り、そして爽やかな甘みになります。主張しすぎない上品な甘さは、パンケーキやヨーグルトなど、素材の味を活かしたいシーンにぴったりです。早朝の清々しい空気を感じさせるような、軽やかな後味も魅力の一つです。

今回新たに加わったのが「盛夏」のハチミツです。真夏の日差しをたっぷり浴びて咲き誇る花々から、ミツバチたちが精一杯集めてくれた蜜です。夏ならではの蜜源植物が豊富に含まれています。

「盛夏」のハチミツの特徴は、その奥深いコクと豊かな風味です。初夏の蜜とは対照的に、濃厚でしっかりとした甘みがあり、一口食べると夏の太陽のエネルギーを感じさせるような力強さがあります。チーズやナッツとの相性も抜群で、コーヒーや紅茶に入れると、その存在感で味わいを一層引き立ててくれます。

水道蜂ハニー(左:盛夏、右:初夏)