ミツバチに刺される_その2

2025年7月に投稿した「ミツバチに刺される」という記事は、今でも多くの方にお読みいただいています。今回はその第2弾(?)として、水道蜂プロジェクトの顧問の先生が経験した、冬の日の出来事をお届けします。

事の始まりは、2月23日に行われた干場先生による内検解説でした。私たちの蜂群は、密度が薄いにもかかわらず巣板の枚数が多いことが判明。そのため、不要な巣板を抜いて密度を高める作業が必要になりました。しかし、折しも大学は入試シーズンの真っ只中。学生の立ち入りが厳格に制限されていたため、作業を顧問の先生に託すことになりました。

先生は面布+つなぎを着用して内検に臨みましたが、思わぬ隙がありました。つなぎの足元のわずかな隙間からミツバチが入り込み、太ももの裏側を刺されてしまったのです。直後は痛みがあったものの、数十分もすれば痛みが引き、「ミツバチに刺されても自分は大丈夫だ」と、先生からは少し誇らしげな報告を受けていました。

ところが、異変は2日後にやってきました。刺された箇所が赤く腫れ始め、痒みに襲われたそうです。幸い痛みはなかったとのことですが、「直後は平気でも、後から反応が出る」というミツバチの洗礼を身をもって体験する結果となりました。

蜂群崩壊と春宣言

1月29日の内検にて、2群の女王蜂の解放を行いました。群を維持し、春に向けた産卵を促すため、巣板の上に代用花粉と砂糖を配置しましたが、どうやら私たちの給餌方法に問題がありました。餌までの動線がうまく確保できず、順調に越冬を続けていた貴重な1群を、餌不足(餓死)により崩壊させてしまいました。巣門の前には力尽きたミツバチが多数転がっており、急いで巣箱を開けてみると、底には大量のミツバチが横たわっていました。巣板に残っていたわずかな蜂たちも、動きは非常に鈍い状態でした。

ここまで大切に育ててきたメンバーにとって、そのショックは隠しきれるものではありませんでした。

この事態を受け、干場先生・渡辺先生にご相談したところ、重要な教訓をいただきました。

実際に、動かなくなった働き蜂が巣穴に頭を深く突っ込んでいる姿が多数見られましたが、これは貯蜜が底をついた際に見られる典型的なサインでした。

この痛恨の経験を糧に、生き残ったもう1群に対しては、給餌箱に砂糖水(砂糖2:水1の割合)を十分に与え、「春宣言(春の飼育管理への切り替え)」を行いました。失った群の分まで、残る1群を大切に守り抜きたいと思います。

越冬期間中:女王蜂解放

2025年11月下旬よりダニ対策の一環で隔離していた女王蜂を、ついに解放する時を迎えました。12月中旬の内検を最後に、約1ヶ月もの間、巣箱の蓋を開けることなく静かに見守ってきたため、「無事に越冬できているだろうか」「群の勢いは保たれているか」と、胸がざわつく中での作業開始となりました。1月下旬に襲った強い寒波の影響で、東京でも厳しい冷え込みが続いています。この時期の開箱によるミツバチの体温低下は命取りになるため、最短時間で作業を終えるよう、事前に作業手順をメンバー間で共有して臨みました。

いざ確認を行い、2群とも無事に女王蜂の姿を捉えた瞬間、メンバーの間からは思わず歓声が沸き起こり、現場は大きな安堵感に包まれました。

厳しい寒さを耐え忍んできたミツバチたちとの、これが2026年最初の対面です。女王蜂の解放により、いよいよ2年目の春に向けた産卵と育児が始まります。

2026年最初の活動

越冬期間中の内検は、ミツバチへの負担を最小限に抑えるため、月に一度のペースで行っています。

一方、年明けの試験期間を終えたこの時期、大学では4年生がいよいよ卒業に向けたカウントダウンを迎えています。私たちのプロジェクトは4年生が多く在籍しているため、次年度に向けた引き継ぎも着実に進めていかなければなりません。そこで先日、新メンバーたちが渡辺先生に無理を承知でお願いし、内検のレクチャーを実施していただきました。養蜂場での実地指導を通して、大切な技術と知識を継承する貴重な機会を得ることができました。ご多忙のなか、丁寧にご指導くださった渡辺先生には、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

2025年最後の内検

11月下旬に女王蜂の隔離と同時に開始したダニ対策。薬剤投与から約4週間が経過したため、薬剤の除去と2025年最後となる内検を実施しました(参考:ミツバチヘギイタダニ対策:第1弾第2弾第3弾)。当日は、風の弱い暖かい日となったため、気温が十分に上がった午前11時頃から内検を開始しました。また、今回は都市養蜂に興味を持っている学生も見学に訪れました。

まず、養蜂箱の底に設置した下敷きのダニの落下状況を確認したところ、秋口の数と比べるとほとんど見られませんでした。また、巣板およびミツバチを目視してもダニの姿が見当たらず、これまでのダニ対策の効果が十分に伺える結果となっています。

食糧についても、夏から秋にかけて蓄えた蜜や花粉が十分にあることを内検から確認できたので、追加の給餌は不要と判断しました。これをもって2025年最後の内検を終え、引き続きミツバチたちの越冬を静かに見守っていきます。

ミツバチヘギイタダニ対策 -3-

当初、秋の採蜜を目標としていましたが、残念ながら予想以上にハチミツが集まらず、今回は採蜜を断念しました。これからは本格的な越冬に向けて、ミツバチたちが無事に冬を越せるよう、準備を進めます。

まず、越冬に備えた重要なミツバチヘギイタダニ対策の第3弾を実施しました(参考:第1弾第2弾)。女王蜂の隔離を行い、ダニ対策用の薬剤アピバール、チモバールを設置し、前回同様にダニの落下状況を確認するため、プラスチック下敷きを巣門に設置しました。薬剤の投与期間は4~5週間を目安にし、除去はミツバチが活発に活動している暖かい日に行う予定です。

また、ミツバチが快適に越冬できる環境を作るため、巣箱の調整を行いました。巣門は、冷たい風や外敵の侵入を防ぐために狭くしています。次に、ミツバチが密集して温まりやすい状態になるように、飼育域を縮小しました。具体的には、継箱を片付け、育児圏の1段に集約し巣箱をコンパクトにしました。さらに、越冬に必要な食糧のために秋に貯めたハチミツの巣板を残して、不必要な空の巣板は取り除きました。

薬剤設置・巣箱のコンパクト化(251121撮影)

ミツバチヘギイタダニ対策 -2-

8月末に設置したミツバチヘギイタダニ対策の薬剤を、約1ヶ月後の9月25日に取り外しました。巣門近くに設置したプラスチック下敷きには、大量のミツバチヘギイタダニが確認でき、既に動かない状態になっていたことから、薬剤の効果があったと判断できます。ミツバチヘギイタダニは、日本の侵略的外来種ワースト100に指定されるほど深刻化しており、その対策は養蜂にとって急務となっています。今回薬剤を設置した2群について、ミツバチヘギイタダニの駆除数をカウントしたところ巣箱Mで240匹、巣箱Jで391匹の駆除をすることができました。なお、ダニの数が多いので、スマフォのカウントアプリを使用して集計を行いました。今回の女王蜂隔離による育児圏断絶と薬剤の組み合わせは、ミツバチヘギイタダニを効率的に駆除する上で極めて有効であり、越冬前のダニ密度を大きく下げ、健全な群勢維持に繋がると期待できます。

女王蜂解放

8月13日のお盆から隔離した女王蜂を約4週間経過した9月11日に解放しました。使用した全面隔王篭は、働きバチは行き来できるのですが、体の大きい女王蜂は篭内でとどまり、産卵を停止させるためのものです。ミツバチヘギイタダニの繁殖は封蓋された巣房内でのみ行われます。そのため、女王蜂を隔離して産卵をストップさせることは、ダニの繁殖サイクルを断絶する上で非常に重要な役割を果たします。働き蜂が卵から成虫になるまで約21日間(約3週間)かかることから、この隔離期間を取ることで、コロニー内の封蓋された蜂児が全て羽化し、ダニの繁殖場所が一時的になくなった状態になります。このタイミングを見計らい、隔離から約2週間後の8月27日にダニ対策用の薬剤を設置しています。

ミツバチイタヘギダニ対策 -1-

お盆期間中に採蜜を行っていた2つの巣箱から女王蜂を隔離していましたが、その2週間後となる8月27日にミツバチヘギイタダニ対策のための薬剤を設置しました。このダニはミツバチに寄生して病気を引き起こすため、冬を越すためには欠かせない重要な作業です。

今回使用したのは「アピスタン」です。現在、日本で認可されているダニ対策用の薬剤は、アピスタン、アピバール、チモバールの3種類のみになります。この限られた選択肢の中から、私たちは、以前熊谷養蜂で開催された干場先生の「ヘギイタダニ抑制と駆除方法」講習会、そして渡辺先生からのアドバイスを参考に、アピスタンを設置することを決定しました。

干場先生の講習会では、薬剤で巣箱の底に落下したミツバチヘギイタダニが狭い場所に集まる習性があると教わりました。そこで、雨に濡れても大丈夫なプラスチック下敷きを巣門に設置してみました。その結果、設置してから5日後の内検では大量のミツバチヘギイタダニが下敷きの狭い隙間に集まっていました。内検時では、小さくて見逃してしまいがちなミツバチヘギイタダニがこんなにいるとは・・・驚きです(アプリで撮影画像のダニをカウントすると168匹)。このダニ対策がきちんと出来なければ、ミツバチは無事に冬を越せません。

(25/09/25加筆)薬剤設置してから1カ月後の記事はこちら

お盆も内検

5月のGWに続き、お盆期間中も大学の長期休暇に伴い、校舎への立ち入りが制限されます。こうした状況の中、大学事務の協力により、特別に屋上への立ち入り許可をいただくことができました。

この時期から、私たちはミツバチたちが無事に冬を越せるよう、本格的な準備を始めます。まずは、ミツバチの健康を守るためのミツバチイタヘギダニ対策です。まずは、採蜜を行っている2群の女王蜂を隔離しました。女王蜂を休ませることで産卵を一時的に止め、ダニの繁殖サイクルを断ち切る狙いがあります。女王蜂も夏休みです。2週間後には、ダニ対策用の薬剤を設置する予定です。

また、女王蜂のバックアップとして、人工分蜂で新しい女王蜂も育てています。新女王蜂の産卵も確認できたので、翅切りを行いました。この作業は何度やっても緊張しますが、無事に終わるとホッとします。

コンクリートに囲まれた屋上はかなりの熱気を帯び、作業中は汗が止まりません。しかし、ミツバチたちが健やかに育つ姿を見ると、疲れも吹き飛びます。このお盆期間も、ミツバチたちが快適に過ごせるよう、しっかりと見守っていきます!